日本の塩専売制が与えた影響は? 塩専売制に関する出来事を時系列に並べてみた

塩の文字

◆1972年(昭和47)国産の塩はイオン交換膜樹脂膜法で作る

国産の塩はイオン交換膜樹脂膜法で作られるようになったほか、海水濃縮の技術も導入した。

◆1985年(昭和60)塩専売公社が民営化

たばこの専売制が廃止され、「日本たばこ産業株式会社(JT)」が発足。
塩事業は、日本たばこ産業株式会社のなかの塩専売事業本部に引き継がれた。

◆1989年(昭和64・平成元年)塩事業の在り方の見直し

大蔵大臣からたばこ事業等審議会に対し「今後の塩事業の在り方について」の意見を求められた。

◆1995年(平成7)塩販売が自由化へ

答申が大蔵大臣に提出され、塩専売制の廃止を前提に製造・輸入・流通の原則自由化が図られた。

◆1997年(平成9年)約92年間続いた専売制度に終止符

外国産の塩に値段や品質で負けない食用塩を日本でも作れる環境が整い、
平成9年(1997)4月1日、塩専売法が廃止。新たに「塩事業法」が制定。
これにより、塩の製造、輸入、販売は自由化され、自然海塩のような「特殊製法塩」は届け出だけで製造・販売できるようになった。

しかし、実際には依然として大蔵省の管理下にあった。
部分的な規制緩和はあるものの、専売時代の名残が残っていた。(専売制廃止の翌年の情報)

「日本たばこ産業株式会社(JT)」から「塩事業センター」が引き継いで、家庭用の塩の販売や備蓄を開始。
安くて品質の良い塩を作る努力を継続している。

◆2002年(平成14)塩が自由に作られるようになった

「仕分け変更事業」によって専売制が解除され、せっかく自由に塩が作られるようになった。
しかし作り手の多くが離れてしまい、製造を再開した塩田はごくわずか。
現在でも伝統製法で、ミネラル成分を取り除かずに塩作りをしている製塩所は少ない。



塩専売制の管轄は農林水産省ではなく「大蔵省」

色、味、成分が異なる海塩

長い間、塩は大蔵省専売局の管理下にありました。大蔵省は国の歳入歳出を司る官庁で、現在の財務省にあたります。国民の食生活の安定と向上を目指す「農林水産省」ではありません。「大蔵省」が管理していたことから、政府は塩を食物としてではなく、資金として見ていたと推測できます。

政府は生活に必要不可欠な塩を支配することで、社会をコントロールしたも同然。塩の質や人間の健康を度外視して、ひたすら効率化に走った結果が現在にも残っています。バランスよくミネラルを含む塩ではなく、塩化ナトリウム以外のミネラルをそぎ落とした工業的な塩が、現在でもたくさん販売されています。

意見が分かれる「塩の値段」に関する記述

天然塩をつくる(塩とにがり)

塩を政府が塩を販売したため、塩の供給は安定したと想像する人がいるかもしれません。しかし、塩専売法を実施した当初、塩の値段は高騰したという情報も。当時は、廃止議論が出るなど世間の反発は大きかったそうです。その後、日本の塩づくりの発展が進み、塩がいつでもどこでも安く手に入るようになったという文献がありました。この辺りは、現在も文献を集めているところです。

塩は健康を配慮して選ぼう

色、味、成分が異なる海塩

塩専売制が実施されている期間、日本人はイオン交換膜法によって精製された塩化ナトリウム純度が高い塩を生活に使っていました。輸入塩もメキシコやオーストラリアの高純度天日塩に限定。さらに、日本では輸入塩を精製して供給していたそうです。消費者の選択肢は少なく、塩化ナトリウム以外のミネラルを補給する機会が奪われてしまいました。日本人の不調には「精製塩によるミネラル不足」が関わっているという声も聞きます。

1997年、塩専売制が廃止。しかし、日本の景色に塩田は戻ってきません。日本は自然の力で塩を生産することが難しい国になしました。経済面を考えた苦肉の策だったかもしれませんが、塩専売制の責任は重いのです。

値段の安い・高いではなく、塩は質が大切です。どんなに安くても不健康になる恐れがある塩を身体に入れたくありません。昔に比べて塩の自由度が高い現在だからこそ、塩をじっくり選んでみませんか? 健やかに暮らすためにはどんな塩を選択すべきなのか、自分軸を大切にしてくださいね。

参考文献

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▼参考サイト▼
https://www.shiojigyo.com/siohyakka/number/history.html



南條 ゆみ

大阪出身、東京在住。事務職を経てフリーランスライターの活動開始。食や健康の記事を担当するなかで、体にやさしい暮らしについて模索を始める。自身の体調不良と向き...

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