【体験談】「無理しないで」なんて無理だから! 育児ストレスとのつき合い方
右も左もわからない育児。わたしは娘を出産後、慣れない育児にヘトヘトになりながらも、いろんな育児や健康に関するコラムを読み漁りました。そのなかで「無理しないで休もう」「周囲に甘えて」なんて書いているのを見るたびに落胆。それができるならやってるわ! 代わりがいない母親という役割に身も心も消耗していくなかで、わたしは自分なりに育児ストレスとのつき合い方を模索しました。
油断禁物。産後ハイにも限界はある
わたしたち夫婦は育児を甘くみていました。里帰り出産しなくても、夫婦で頑張れば乗り越えられると信じていたのです。でも育児は想像以上に壮絶でした。「家事と育児を手伝う」と言っていた夫も仕事が激務でほとんど家にいない。わたしは満足に眠れない、食べられないだけでなく、自分の判断が娘の生死に関わるというプレッシャーを抱えひとりで苦しんでいました。
娘が寝ているのに、いつ泣くのかドキドキして眠れない。ようやく眠れても夢の中でも育児。寝ぼけて枕を横抱きにしてベッドに座っていることもありました。こんな状態でも、わたしはひとりで育児をしていたのです。当時は行政のサービスや民間の託児所の存在は知りませんでした。
娘が1歳を迎えた頃、心の糸がプツンと切れてしまいました。こんなに娘は可愛いのに死ぬことばかり考えてしまうのです。おそらく産後鬱・育児ノイローゼのような状態だったのでしょう。産後は「わたしが頑張らないと!」と気合いだけで走ってきましたが、産後ハイは長く続かず心身が限界に達したのでした。精神がや病むだけでなく、ひどい肌荒れになるなど体も悲鳴をあげました。
少しでも大人と話す時間をつくる
夫は仕事で忙しく不在のことが多く、単身赴任の時期もありました。言葉の通じない子どもとずっと一緒にいるわたしが「誰か大人と話したい」と夫に言うと、「ママ友は?」と……。私としては「じゃあ俺と話そうよ」と言ってほしかったのですが、現実は難しい~。私は大阪出身で、結婚後に東京へ移りました。だから、東京に友達は少なかったし、まして子どもを連れて友達に会いに行こうという気力が当時はありませんでした。
育児の弱音や愚痴を聞いてくれる人がいたら、きっと心が楽になったと思う。それと同じくらい子どもの成長や育児の面白エピソードを聞いてくれる人もほしかった。電話やSNSでのコミュニケーションは楽しいけど、わたしは対面で話すのが好きだったので産後は非常に孤独でした。1歳、2歳、3歳……と赤ちゃんだった娘が幼児になり友達と外出しやすくなってからは世界が広がってうれしかった!
休むのも育児。まずは5分休みを習慣づける
よく聞く台詞の「休めるときに休んでね」は、「休めないなら休まなくて良いよ」とも受け取れませんか? わたしも相手を思いやる気持ちを込めて言ったことがありますが、育児を経験して「休めるとき」なんて抽象的な言葉じゃ本気で忙しい人には届かないと痛感しました。
忙しい人こそ、意識して休息時間を作らないと休めないのです。とはいえ待ったなしの育児でまとまった時間を休むのは難しい。そこで、まずは「5分」から始めてほしい。上手に休めない人、休む時間があったら家事をしたい! という人も思いますが、子どもが落ち着いているタイミングを見計らってひと休み。赤ちゃんが泣いたり、「ママー!」と子どもに呼ばれたりすると心苦しいですが、緊急事態以外は5分休む。子どもの昼寝中に用事を済ませたいかもしれませんが、5分だけでも休んでみませんか?
休む習慣がついたら、時間を伸ばせたら理想的です。状況にもよりますが、わたしは娘が1歳のころから託児所や母子分離型の習い事を利用して、ぼーっとする時間を確保。育児ノイローゼを経験してからは「ママも休まなきゃダメでしょ♪」と開き直る強さが身についたので、わたしは託児に罪悪感はまったくありません。民間のサービスはお金がかかるけれど、自分が倒れるほうが大変だし必要な費用と割り切っています。
心身を休めて副交感神経を優位にしよう
休み時間には、自分の思うことを自由にして過ごしてください。横になって休んだり、美味しいものを食べたり、テレビを観たり、体を動かしたり、人それぞれの過ごし方があると思います。子どものため、夫のためではなく「自分のため」に心を満たすのです。育児に一生懸命なときは、自分のことを後回しにしがち。1日のほんの少しの時間だけでも自分を1番にしてほしいでのです。
休み時間に何をしようかな? と迷ったときは、副交感神経を優位にする行動がおすすめです。簡単にいうと心身をリラックス状態にする行動のことです。育児や家事に追われていると交感神経が優位になりやすく体が緊張状態に……。その状態が続くと、疲労や不眠、消化不良など体調不良を招きます。体を温めたり温かい飲み物を飲んだりしてリラックス状態をつくることで、副交感神経が優位になりストレスを軽減できます。
「自分らしさ」を大切にすることを忘れないで
自分らしさに目を向けると暮らしがぐっと楽しくなります。育児中はどうしても子ども中心の生活。子どもが喜ぶ料理を作って、部屋には子どもが好きなキャラクターのおもちゃが並んでいる。服装も動きやすくて汚れてもいいものを選ぶ。そんな生活を送っていると、「わたしって何?」と自分らしさや個性を忘れてしまうことも。ぜひ自分の好きなもの・ことを生活に取り入れてみてくださいね。
たとえば、お気に入りのアクセサリーを身につける、推し活、調理グッズをこだわる、旅先の写真を飾るなどなど。ほかの誰でもない自分のセンスで選びます。わたしの場合は、娘の手が届かないところにイヤリングを並べて飾っています。冷蔵庫にはわたしだけのご褒美スイーツを用意♪ ポイントは目に見える形にしていることです。疲れているときも、視界に入るとちょっと気持ちが緩みます。
「ダメだ…」と思ったら泣いたっていい
今回、育児ストレスとのつき合い方について書きましたが、こんなふうに考えられるようになるのに時間がかかりました。とくに娘が0歳のころは生活リズムがグダグダで綺麗ごとだけでは乗り越えられない場面もありました。当時の育児日記を見ると、今でも胸が苦しくなります。
正直、育児ストレスをゼロにするのは難しいと思っています。子どもが成長しても子育ての悩みは尽きないだろうし、子育てを完全に断たない限り育児ストレスとは離れられないのです。じゃあ、子どもとサヨナラする? と聞かれるとわたしの答えは「NO」。娘は間違いなくわたしの宝物になりました。何かを得ようと思うと、苦労や努力が必要なんだなと考えるようにしています。
わたしは娘の前で泣いたこともあります。我慢すべきかもしれませんが、ずっと一緒にいる娘に嘘をついて暮らすのはしんどかった。泣いていいのは子どもだけじゃない、大人だって泣きたいときがある。まだまだ育児の途中だけど、娘と一緒だからここまで来られました。娘には感謝の気持ちでいっぱいだし、お互い素を見せているからこそ安心感もあります。育児ストレスはつらいけれど、きっと意味があると信じたい。たくさん笑って泣いて、娘とのかけがえのない時間を過ごしていきたいなと思います。育児ノイローゼのとき、死ななくて本当によかった! できるだけ永く、娘と一緒に過ごせますように。