はじまりは紀元前!? 海の恵み「タラソテラピー(海洋療法)」で心身を健やかに
「タラソテラピー」という言葉をご存じですか? タラソテラピーは、海洋気候のもとで海水や海藻などの海の資源を使って健やかな心身へ導く自然療法です。タラソテラピーに対し、真水を利用する療法を「ハイドロテラピー(水治療法)」、温泉のミネラル水を利用した療法を「クレノテラピー(鉱泉療法)」と呼びます。これらの療法から、今回はタラソテラピーについて紹介します。
タラソテラピーとは?
タラソテラピーは、日本語では「海洋療法」と訳されています。言葉の通り海にまつわる素材を用いた療法です。海辺に滞在し、海洋気候のもとで海水、海藻、海泥などを使って体を癒します。
日本では、エステサロンなどでタラソテラピーが扱われることが多いですが、タラソテラピーの研究が盛んなヨーロッパでは、医師の処方のもとタラソテラピーが実施されることがあります。あらゆる生命の源と考えられている海。タラソテラピーを行うことは、生命の根源である海の恵みを体内に取り込み、身体のバランスを整えることに繋がります。
とくに発祥地とされるフランスではタラソテラピーが活発。多くのタラソテラピーセンターが存在し、幅広い年齢層の人々が利用しているそうです。体質改善、健康維持、病気予防のほか、美容やリラクゼーションを目的にタラソテラピーを行うこともあり、医療分野以外でも活用されています。
タラソテラピーの効能
タラソテラピーを行えば、海の豊富な栄養素を取り込めます。さらに、不要な毒素を排出、代謝を高める効果も。海と人間の体内の成分が似ているため、海と人間との相性はバッチリ。さらに、海水は保温効果が高く、海からあがっても体温が下がりにくく冷えで悩む人にもおすすめです。
海水は浮力が大きいので、関節に負担をかけずに運動できるのも魅力。関節の痛みや体の歪みが改善されるそうです。運動不足が心配な人、姿勢を整えたい人にも海水での運動が良いでしょう。
体の調子を整えるほか、痩身、痛みの軽減、皮膚の保湿作用などの効果が期待できるタラソテラピー。施術や運動はハードルが高いな~と思っている人でも大丈夫。特別な施術や運動をしなくても、海辺にいるだけでも海の恩恵を受けることができるんです。潮風を吸い込むことによる殺菌、自律神経の調整。海辺でリラックスして過ごすだけなので、気軽にタラソテラピーを始めることができます。
寄せては返す波を見ていると心が落ちつく……そんな経験はありませんか? それもタラソテラピーの効果のひとつ。普段と違う場所で過ごすことによる休養効果と考えられています。
タラソテラピーの方法
タラソテラピーの基本は、海水に浸かる「海水入浴療法(バルネオテラピー)」。海水にはミネラルなど、豊富な栄養素が含まれています。人間の体にとって不可欠な5大栄養素であるミネラル。不足するとあらゆる体調不良の原因になります。海水入浴療法(バルネオテラピー)は、全身の皮膚からミネラルを補給できるため重要な施術といわれています。
そのほかにも、タラソテラピーはさまざまな方法があり、海藻や海藻を加工したものを利用する「海藻療法(アルゴテラピー)」、海泥を全身に塗ってパックする「海泥療法(ファンゴテラピー)」などがあります。基本の海水入浴療法(バルネオテラピー)なら海水浴感覚で取り組みやすいかなと思いますが、ぜひ興味ある療法を探して挑戦してみてくださいね。
紀元前には、海が持つ治癒力に気づいていた
タラソテラピーは、1967年にフランス人医師ド・ラ・ボナルディエール博士によって確立された自然療法です。新鮮な海水を採取し、それを温めて利用する療法を初めてタラソテラピーと命名しました。
でも、それよりもずっと昔、紀元前420年には医学の開祖ヒポクラテスが海水入浴を提唱したというエピソードがあるそうです。紀元前に、人々は海の治癒力に気づいていたのです。
現在ほど医療や技術が進歩していなかった時代、人々は感覚的に海が心地よいと気づいたのかもしれません。日本ではあまり馴染みのないタラソテラピーですが、海外では盛んに研究が行われています。体と心を癒したい。そんなときはぜひ海の恵みを思い出してください。古くから伝わる海の力があれば、体質が改善されて薬や医療器具を手放せるかもしれませんよ。