塩スキンケアの鍵を握る「浸透圧」とは? 肌のデトックスに塩を活用しよう
塩にはいろいろな作用がありますが、今回は「浸透圧」に焦点を絞ります。塩を使うスキンケアの原理を説明するには、浸透圧は無視できません。お清めを目的に塩を活用する人もいらっしゃいますが、原理を理解すれば一層メリットを感じていただけるはずです。
水を引っ張る力「浸透圧」の不思議
濃い塩水と水を半透膜によって隔てると、水は半透膜を通過して塩水側に移動しようとします。そのときの圧力を浸透圧といいます。半透膜は水を通しますが、塩類などある種の物質は通さない性質をもつ膜。浸透圧は「水を引っ張る力」ともいえるのです。
キュウリを塩で揉むと、キュウリから水分が出てきます。野菜に塩をふると、表面につけた水分に塩が溶け濃い塩水ができます。これにより野菜の外側の塩分濃度が高くなり、浸透圧が働いて野菜の内側から外側へ水分が染み出てくるという仕組み。
ナメクジに塩をかけると体が縮むのも浸透圧の働きが原因といえます。塩が体の粘膜に溶けて濃い塩水となり、ナメクジ体内の水分が半透膜を通して外へ出て行ってしまうのです。
塩の浸透圧効果を利用したスキンケアでお肌サッパリ
浸透圧の働きを利用すれば、料理の旨味を引き出すことができます。野菜の水分を抜き、旨味を引き出す。さらに、水分と一緒に臭み成分が排出されるメリットもあります。塩の浸透圧を料理だけでなく、スキンケアにも応用しましょう!
肌に塩水を塗ると、浸透圧の作用で肌内部の水分や皮脂を引き出すことができるのです。塩の浸透圧には、汗を呼び出す働きもあると考えられているため、汗をかく機会が減ってしまった現代人にピッタリのスキンケアです。毛穴もサッパリして心地よく、引き出された皮脂により肌表面が潤うのでつっぱり感も少ない。さらに、浸透圧を維持して体本来のバランスを整え重金属や毒素を排出。
海水浴の後に、体や髪がベタつくのは、海水そのものの影響だけでなく、塩水によって体から出た老廃物が原因のひとつと考えられています。
塩の浸透圧を味方にするには、塩だけでなく水を使う
塩は食材のなかでも浸透圧が大きいそうです。梅などの果物は砂糖漬けにすると液体が出てきてシロップにできますし、アルコールに漬けておけばお酒を作ることができます。つまり、浸透圧の働きをもつ食材は塩以外にもあるのです。しかし、塩の浸透圧は砂糖やアルコールよりも強いといわれています。ぜひスキンケアに塩を活用して、塩の浸透圧効果を体感してくださいね。
塩だけを使っても浸透圧の効果は期待できません。塩と水を組み合わせることで浸透圧は発揮されます。塩分の濃度が高いほうが早く浸透圧が発揮されますが、低い濃度でも効果はあります。塩水が肌にしみて痛い場合は、無理をせず低濃度の塩水からお試しくださいね。