歯磨き粉の歴史に【塩】発見! 市販の歯磨き粉に固執する必要はないのです

歯磨きをしている女性

歯を磨くとき、普段は歯磨き粉を使っていません。塩やニガリなどでデンタルケアしています。そんな生活を始めて数年が経過しますが、歯科医院での健診は今のところ問題なし。「歯磨き粉を使うべき」という先入観が覆りました。

歯磨き粉や歯ブラシの歴史を振り返えると、市販の歯磨き粉に固執する必要はないと感じました。テレビCMしているような歯磨き粉以外にもたくさんの選択肢があるのです。今回は、歯磨きの歴史を紐解きます。


紀元前から「歯磨き」文化は始まった

歯磨きについて調べていると「紀元前1500年頃のエジプト文明から歯磨きをしていた」「約3000年前のインドではすでに歯磨きの習慣があった」「ブラシではなく指や麻布で磨いていた」などの情報を見つけました。石器時代の人の歯からデンタルフロス(細い糸のようなもの)や爪楊枝が発見されたという情報も。デンタルケアの歴史はかなり長いと考えられます。

平安時代、歯ブラシの作り方が中国から伝わった

日本と世界の国旗

仏教を開いた釈迦は、経を読む前に「歯木(しぼく)」という木の枝で歯を綺麗にするように指導。中国から日本に歯木が伝わったのは平安時代でした。当時はヤナギの枝が使われていたそうです。歯磨きの習慣が庶民に広がったのは江戸時代。ヤナギの枝を削り、先端を砕いて毛の房のようにした「房楊枝」で歯磨きをするようになったのです。

江戸後期になると房楊枝の作り方が発展し、店頭で職人が製造するようになりました。「枝の端を槌で叩いて砕き、房状にする」という単純な製法ですが、適度な柔らかさで均一に砕くのには技術が必要。歯磨き職人が1本1本作っていたと考えられています。


大正時代に歯ブラシ工場が登場。歯ブラシのハンドル(持ち手)には牛のすねの骨、毛には豚の毛が使われました。第二次世界大戦(1939年9月1日~1945年8月15日)の頃は、物資不足のため歯ブラシのハンドルに木や竹を使用しましたが、第二次世界大戦後は現在とほぼ同じ形の歯ブラシが作られるようになったそうです。

その後、さまざまなタイプの歯ブラシが開発されました。1980年(昭和55)には毛先が歯と歯の間に入り込む「山切りカット歯ブラシ」、1993年(平成5)には歯周病の予防を目的とした「細い毛の歯ブラシ」が発売。

現在でも、自然素材で作られた歯ブラシは販売されています。わたし自身、自然素材の歯ブラシを使用したことがあります。いくつか使用したところ、化学繊維を用いた歯ブラシのほうが磨きやすかったですが、自然素材には特有の温もりがありました。何より、自然素材で作られた歯ブラシは環境にやさしい♪

▼動物の毛を使用した歯ブラシ

▼竹の歯ブラシ


日本で歯磨き粉が販売されたのは江戸時代から

海塩

約3550年前のエジプトで、歯磨き粉の使い方が書かれた書物があったという情報を見つけました。日本に歯磨き粉が伝わったのは江戸時代(1643年頃)。歯磨き粉が伝わる以前は、歯磨き剤として塩を使っていたそうです。

日本で最初に歯磨き粉を作ったのは江戸時代の商人ですが、いろいろな歯磨き粉を工夫して作る人が現れました。江戸時代に普及した歯磨き粉には、各地で採れる「砂」が使われていたそうです。石英の粉末を含んだ砂ではなく、柔らかい砂(精製した天然の炭酸カルシウム)を使用

現代で使用されているようなペースト状の歯磨き粉ではなかったため、砂に竜脳(りゅうのう)、丁子(ちょうじ)、百檀(びゃくだん)などの香料で香りを付けました。粉状の歯磨き粉は紙の袋に入れられて販売されてていたそうです。

私は使ったことはありませんが、現在でも粉状の歯磨き粉が販売されています。ホワイトニング効果が期待されるアパタイトが配合された歯磨き粉が多いようです。

明治時代以降、歯磨き粉の商品開発が加速

歯ブラシなどのデンタルケア商品

チューブ型の歯磨き粉は1850年(嘉永3)頃にアメリカで初めて登場しました。日本でチューブ型の歯磨き粉が販売されるようになったのは1888年(明治21)。異国の技術や文化の影響を受けながら歯磨き粉は発展しました。

1911年(明治44)にチューブ式の歯みがき剤、1948年(昭和23)に日本初のフッ素入り歯磨き粉、1968年(昭和43)に口臭を防ぐための歯磨き粉、1970年(昭和45)にホワイトニングカルシウム配合の歯磨き粉、1981年(昭和56)に歯垢分解成分が入った虫歯予防の薬用歯磨き粉が発売されました。

歯磨き粉開発前は自然素材で磨いていた

歯磨き粉の代わりに塩とニガリ

江戸時代でも、歯を清潔にすれば虫歯を予防できるという常識はあったようで、当時の人々は身だしなみの一部として歯を磨いていたようです。歯磨き粉が販売される以前、日本人は塩などの自然素材で歯を磨いていました。古代ローマ人は、蜂蜜にすり潰した骨や、卵の殻、貝殻を加えて歯磨き粉を作ったそうです。

昔の日本人は「塩の引き締め作用や殺菌作用が歯に良い」と感じていたのでしょう。現在でも自然素材で作られる歯磨き粉が販売されているようです。私もすべての商品を試しているわけではございませんが、歯磨き粉の選択肢を増やすために日々チェックしています。

▼塩を使用した歯磨き粉

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▼貝殻を使用した歯磨き粉

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歯磨き粉に固執する必要はないのでは?

歯磨き中の女性が振り返った瞬間

一般的な歯磨き粉は泡立ちが良すぎるため、磨けていないのに歯磨きをした気になっている人が多いそうです。歯磨きの目的は、歯磨き粉を付けることではなく、歯を綺麗にすること。目的を見失わず、歯を丁寧に磨くことが大切なのです。

塩やニガリで歯を磨けば、化学物質の心配がありません。歯磨き粉を飲み込んでしまいがちな小さな子どもでも安心です。とはいえ、歯磨き粉を使いたいときもある。そんなときは、体にやさしい歯磨き粉をお使いくださいね。https://umiwatashi.com/salt-skincare-merit/

私はシャボン玉石けんの歯磨き粉を使っている時期もありました。歯磨き粉は消耗品なので、入手のしやすさも大切です。体へのやさしさはもちろん、利便性も含めて選ぶほうが快適。歯磨きは毎日行うことだから、自分に合うものを見つけてくださいね。

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南條 ゆみ

大阪出身、東京在住。事務職を経てフリーランスライターの活動開始。食や健康の記事を担当するなかで、体にやさしい暮らしについて模索を始める。自身の体調不良と向き...

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