海洋プラスチックが「魚介類」や「塩」になって食卓に戻ってくる!?

塩と魚

海に漂うごみ、海辺に漂着するごみの数は、年々増えるばかり。そのうちの約70%はプラスチックのごみといわれており、海洋プラスチック問題は深刻です。でも、残念ながら「自分には関係ない」と危機感をもたない人が多いのが現実です。あなたは自分が消費したプラスチックを食べた魚介類、プラスチックを含む海水で作られた塩が食卓に並ぶ可能性を考えたことはありますか?

無人島でも発見!? 海洋プラスチックは100年以上漂い続ける

海辺に捨てられたゴミ(海洋プラスチック問題)

海洋プラスチックは地球のあらゆる海で漂っています。北極や南極でも発見されているそうです。無人島のようなごみとは無縁な場所にさえ存在しています。プラスチックは軽くて波で流されやすいため、簡単に遠くまで運ばれてしまうのです

プラスチックは世界中で使われています。軽量で丈夫で錆びることがない便利な素材です。しかし、この魅力的な素材は海に漂うと非常に厄介。海に流れ込んだプラスチックは丈夫なために分解されず、長い間漂い続けるのです。その期間は数百年ともいわれています。

海洋プラスチックには有害物質が含まれている

海洋プラスチック問題

プラスチックそのものには毒性はないそうです。ではなぜ、海洋プラスチックが問題になるのか。その理由のひとつは、プラスチックの加工段階でいろんな添加剤を使用することが挙げられます。たとえば、難燃剤に用いられるポリ臭化ジフェニルエーテルなどの有機化合物、可塑剤やポリカーボネートの原料となるビスフェノール(BPA)などなど。人間や生物に有害な添加剤が使用されているのです。

さらに、プラスチックは海を漂ううちに、海水中に薄く広がった汚染物質を表面に吸着してしまう性質があります。もともとは毒性が低いプラスチックでも、製造段階の加工や捨てられてからの漂流を経て有害物質になってしまうのです。

そのほか、プラスチックが漂う間に外来種や病原菌が付着すると感染病伝播リスクが高まります。そうすると、人間の健康問題に直結する事態になりかねません。プラスチックは、海だけでなく人間にとっても恐い存在なのです。

生活ごみが海へたどり着く道のり

川と小さな滝

海のごみは、海でポイ捨てされたものや紛失・遺棄された漁具だけではありません。海のごみは川を経てやってくるのです。街で捨てられたプラスチックごみは、風に乗って川へ落ちて海に辿り着く。ごみ処理場のごみが風で舞い上がり川へ落ちて海に辿り着く。そんなふうにして、ごみが海に流れていくそうです。

家庭排水から流れ出るマイクロプラスチック(5mm以下の小さいプラスチック)も問題になっています。下水処理施設でマイクロプラスチックは除去されますが、除去率100%とは言い切れません。数%が海へ流れていると想像するのは難しくないでしょう。海の近くに住んでいない人も、海洋プラスチック問題の当事者なのです。

魚介類や塩に海洋プラスチックが含まれる可能性

塩と魚と貝殻

現在のところ、海のプラスチック濃度は海洋生物を殺すような危険なレベルではありません。でも、人間が消費したプラスチックが、魚介類や塩となって食卓に帰ってくるルートができつつあるそうです。

汚染された海洋生物には人間が食べる魚介類が含まれているだろうし、汚れた海水から作る塩が健康的とは思えない。プラスチックを食べた魚介類を食べた結果、人間にどんな健康被害がでるかはまだ解明されていませんが、プラスチックを含む食品を食べたいか? と質問されたら、わたしの答えは「NO」なのです。

自然にやさしい商品を選んでエコ活動

親子で海辺を散策

最近では、海洋プラスチック問題に注目が集まり、ビーチクリーン活動を行う人が増えました。2020年にはプラスチック製レジ袋の無償配布が禁止になるなど対策が始まり、多くの企業が環境にやさしい商品を販売しています。

でも、難しいプロジェクトを掲げなくても、簡単に始められるエコ活動があります。それは、合成洗剤や柔軟剤を使わない。アクリルスポンジで食器を洗うのではなく天然繊維のたわしや布を使う。化学繊維の服ではなく天然繊維の服を着る。化学繊維の服を洗濯するときに発生する繊維くずはプラスチックの一種。そのまま排水されると海の汚染に繋がります。自然にやさしいものを選ぶことは立派なエコ活動です。この機会に、ぜひ日用品を見直してみてくださいね。

ビーチクリーンは対症療法に過ぎない

わたしはビーチクリーンのイベントに参加したり、海に立ち寄るときは、落ちているごみを拾ったりしています。でも。ビーチクリーンは、対症療法に過ぎないのが正直なところ。拾えるごみの数には限界がありますし、それ以上に人間がものを消費するのでごみは増える一方なのです。ビーチクリーンだけでは根本的な解決は難しいでしょう。

海洋プラスチック問題を改善するためには、ひとりひとり「ごみの量を減らす」という心がけが必須だと感じています。もし、海洋生物がプラスチックに曝され続けるとどうなるか、今以上にプラスチック濃度が高くなったらどうなるか、しっかり考える。そして、次世代にできるだけ綺麗な環境を残すという責任を果たすべきです。ものを大切にする、自然にやさしい商品を選ぶ。ちょっとした工夫からエコ活動を始めてみませんか?

参考文献

海洋プラスチックごみ問題の真実 マイクロプラスチックの実態と未来予測 / 磯辺 篤彦 著 生命科学 工学 人類学 学術誌 概論 家政学 健康 運動 最新 食品化学 栄養学 日本食品 栄養素 食事 基本 安全性 図鑑 事典 辞典 食生活 成分 重要 試験.. 人気 おすすめ 送料無料 #og

南條 ゆみ

大阪出身、東京在住。事務職を経てフリーランスライターの活動開始。食や健康の記事を担当するなかで、体にやさしい暮らしについて模索を始める。自身の体調不良と向き...

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