海塩、湖塩、岩塩…どれを選ぶか迷ったら「海塩」がおすすめ
塩は、海水や塩湖や岩塩などさまざまな姿で存在しています。何が違うの? どれを選べばいい? わたし個人の考えではありますが「迷うなら国産海塩を選べばいい」と思っています。今回は、海塩、湖塩、岩塩の特徴に触れつつ、なぜ海塩がおすすめかを説明いたします。
海塩:海の環境、塩の製法で成分に差がでる
海塩は、海水の水分を太陽熱や風力によって蒸発させたり、イオン膜で濃縮して煮詰めたりして製造された塩です。海水には約3%の濃度で塩が溶けています。海水のミネラルバランスはほぼ一定ですが、海水を取水する場所や周辺環境、製法によって塩のミネラルバランスは異なります。
海塩を選ぶなら、精製塩ではなく自然塩がいいでしょう。工業的に作られた精製塩には、塩化ナトリウム以外のミネラルがあまり含まれていません。成分比でいえば、99.9%以上が塩化ナトリウムなので、精製塩はミネラルバランスを整えるのには不向きでしょう。
湖塩:海塩と岩塩の中間的存在
塩湖から採れる塩を湖塩といいます。塩湖は、海水が地殻変動などで陸に閉じ込められてできたもの。塩湖の多くは乾燥地にあるため、雨が少ない地方では水が蒸発して塩分が濃くなります。海よりも塩分濃度が高い塩湖も存在していて、イスラエルにある死海の塩分濃度は海水の6倍以上(場所によっては10倍以上)なんだとか。乾期にしか収穫できないので、湖塩の生産量は多くありません。
塩湖は、流入する川がないことが多く水面が揺れません。鏡のように塩湖が静かに周囲の景色を映す様子はとても綺麗。ウユニ塩湖などは観光地としても注目されています。
岩塩:味や色など地域による差が大きい
塩湖が地下に沈み、長い時間をかけて塩が岩のようになったものが岩塩。長い年月をかけて塩湖の蒸発・濃縮が進んだ結果が岩塩なのです。岩塩は数億年前~数百万年前に形成された「海水の化石」とも呼ばれています。鉱物と同じように採掘されるほか、水で溶かして塩水にして製塩されます。アメリカ、ドイツ、イタリア、スペイン、パキスタンなどの国の内陸部で多く産出。地域によって味わいや彩りが異なるのが魅力です。岩塩は塊で埋まっているだけでなく、地下水に溶けていることもあります。
岩塩は、ナトリウム構成比が高めの傾向があります。海塩に比べて結晶が硬く、溶けにくいのも特徴です。心配なのは、世界のほとんどの岩塩は機械か爆発物を使って採掘されていることです。ダイナマイトなどが使用されると、多くの有害物質が塩に混入してしまいます。爆発物を使わずに採掘された岩塩を選びましょう。
塩選びに「正解」はない!
「どの塩を選べばいいですか?」の問いには、絶対的な正解はありません。なぜなら、使う目的や好みは人それぞれだからです。一般的に海塩のほうが、湖塩や岩塩より多くにがりを含むため、ナトリウム以外のミネラル、とくにマグネシウムの含有量が多い傾向があります。そのため、ミネラルバランスを意識するならば海塩を選ぶべきかもしれません。ですが、湖塩や岩塩にも健康効果が期待できる塩はあります。たとえ海塩でも、製法によってはナトリウム以外のミネラルを失っている場合があります。
日本では湖塩や岩塩が作られません。でも、外国産の湖塩や岩塩を使うことで料理の幅が広がったり、異文化を感じたりできます。楽しむことを忘れるのはもったいないので、自分が美味しい! 心地よい! と思える塩を探してみてください。そのときに、食品表示を見て成分や製法をチェックすると安心です。選ぶのに迷ったら「国産海塩」はいかが?
人間の血液や細胞液、羊水のミネラルバランスが海水と非常に似ている。輸血の際に海水を用いた実験で、海水が血の代わりになると明らかになった。このように人間と海は相性が良いので、もし塩選びに迷ったら海塩を選ぶと良いでしょう。
外国から輸入された塩を、味見したり食べ比べたりするのは面白い。外国から輸入された塩がキッチンにあるだけでオシャレな雰囲気に。どんな料理に使うのかイメージを膨らませながら塩を選べば、料理がますます楽しくなります。ただ、外国の食べ物が口に合わなかったり、旅先の食事で体調を崩したりする人がいるように、暮らしている土地の食のほうが体に合う場合があります。そう考えると、日本人は日本の塩を摂るほうが無難かもしれません。
わが家の台所には外国産の塩がありますが、日常的に使う塩は国産です。塩を選ぶときは精製塩を避けていただきたいけれど、自分で吟味してお気に入りの塩を見つけてくださいね。それでも、もし迷うなら「国産海塩」の自然塩を選んでみたらいかがでしょうか? ミネラルバランスが整っているので体質改善が期待できますよ。